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2009年04月

春樹村上と『月の本』

 鈴蘭台のバイトがあるからと、家から出発した直後に、携帯も本も忘れてしまったことに気付きました。道中の一時間、暇つぶし出来る物がなにもない。絶望的です。
 あわてて駅の本屋に駆け込み、目ぼしい文庫を捜していたところ、どうにも以前から気になっていた、村上春樹の『東京奇譚集』が目に留まりました。
 それから数分、ウロウロしてみるも、やはりその本から目が離せない。
 正直私は、あまりこの作者に良い印象を持っていなかったのです(好きな作家をけなされたことや、某恋愛小説の文体が好きになれなかったこと、作品数が妙に多いことなどから)。
 しかし、他に目ぼしい本もみつかりません。「奇譚」というからには、自分の好みから大きく外れはしないだろうと、足早に購入して電車に飛び乗りました。
 そうして渋々読み始めると、なんのなんの、やってきたのは深い感慨の渦。
 ファンの方には小馬鹿にされるでしょうが、こんなにも味わい深く、かつ読みやすい文を書かれる作家だとは思いませんでした。流麗で、まとまりのある美しい日本語。エンターテイメントではなく、文学、という分類が相応しい。そして何より、物語全体から漂ってくる、作者の人柄のようなものを感じ取ってしまいました。
 伊達じゃありませんね、ノーベル賞候補。春樹好きの友人に怒られるわけです。
 数日後には図書館で借りまくっているかもしれません。
  
 あと個人的にお勧めなのが、その名もズバリ、『月の本』。編者は林完次。
 月に関する様々な資料、伝説、根拠に基づいたミステリーを、全200ページにおよぶ迫力の写真とともに、幻想世界にたっぷり浸りながら読み進められます。私は月に関するこういった本を捜し求めていたのです、なんて大げさなものではありませんが。
 特に推したいのが、月に関するミステリー。地球という惑星には、大きすぎる衛星。太陽系よりも古い岩石、まるで計算されたように同じ面しか向けず、地球の周りをほぼ円状に公転している、神秘の衛星。ただの夢物語だと思うのも真実だと思うのも自由ですが、私には、私が以前から知る説を、裏付けてくれているような気がしました。恐竜が、地上の重力にさらされながらも、何故あんなにも巨大化出来たのか、その謎もなんとなく見えてきたような気がします。そうなると話はどんどんと広がっていってしまうのですが、詳しくはネタバレになるので割愛。こんな時に自分が変人だと自覚します。
 図書館や大きな書店の天文コーナーに置かれているので、興味があれば目を通してみてください。
 
 それから、『悠久』の更新はもう少し先になりそうです。最近気力を削られるため、ぼうっとするほうに時間をまわしているのです。
 それでも来週あたりに欲求爆発させて書き上げてしまいそうな気もしますが、相変わらずの不定期です。もうしばらくお待ち下さい。
  
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